産業用不動産への投資
産業用不動産へ投資する社会的・経済的背景
近年我が国で建設される物流施設は、大型化する傾向にあり、倉庫等の建築着工量の回復に示される様に、活発な投資(資金の供給)が行われています。これらの背景には、平成14年以降、国内の製造業出荷額、設備投資額及び鉱工業生産指数は増加傾向を見せ、日本経済が「いざなぎ景気」を越える期間にわたる景気拡大を続けていること、並びにこのような日本の景気拡大とアジア経済の発展による国内外の貨物流通量の増加に伴い、より効率的な国内物流体制の再構築を目指して拠点の集約・統合が進んでいることがあると、本投資法人は考えています。また、工場・研究開発施設等においては、製造業における商品ラインの見直しや先端技術工場への投資を中心とする投資の国内回帰の流れを受け、立地件数が増加傾向にあります。
更に、景気回復に伴う企業の設備投資の活発化や高度成長時代に建設された設備の更新、環境・エネルギー・通信関連といった新たな分野での設備投資等、インフラ施設への投資のための資金に対するニーズが拡大しており、投資主体(資金供給者)の拡大が求められています。一方で、減損会計の導入、保有資産の効率的運営を意識した経営への意識の変化を契機としたCRE(企業不動産(Corporate Real Estate))戦略(注)の浸透から生じる不動産売却ニーズ及びプロフェッショナルによる不動産運営ニーズも生じてきています。(注)経営戦略の一環として、企業価値向上に貢献する不動産投資行動を取る企業戦略のことを意味します。
また、国や地方公共団体等の公的セクターにおいては、財政の再建を目指し財政投融資の規模が縮小しているものの、今後必要となる公共施設等の整備や道路、水道関連施設等の既存施設の維持更新が求められています。既に国においては国有財産の売却が進められていますが、その他の公的セクターにおいても公営事業の見直しなどにより、民間のノウハウの活用や公有資産の整理の増加といった流れが加速することが予想されています。
加えて、公的セクターの提供する公共サービスには、PFI(民間資金等活用事業(Private Finance Initiative))や指定管理者制度導入など、官民の役割分担の新しい流れも生まれています。本投資法人は、今後、公的セクター が公共サービスの持続的提供を図るためにも、公共のインフラ施設の売却により、民間との協働を進めるようになると考えており、かかる観点から、 民間による公共のインフラ施設の取得・保有ニーズも増加するものと考えています。本投資法人は、このような投資機会の拡大が見込まれるインフラ施設の新たな受け手として、国家経済的な資産の効率的な運営の一翼を担い得るものと考えています。そこで、本投資法人は、関係法令の整備等が必要な場合にはそれら前提条件の充足や関係機関との調整を踏まえて、公的セクターにおけるインフラ施設への投資も検討していくこととしています。
これらの背景を踏まえ、本投資法人は、物流施設のみならず、従来の不動産投資信託が投資対象としていなかった、工場・研究開発施設等、更にはインフラ施設に投資していくことにより、不動産投資信託の新分野を確立し、投資家に対して新たな投資機会を提供したいと考えています。